定期借家マンションが増加中 賃貸オーナーが知っておきたい契約形態の変化とアパート経営への影響
2026/08/07(金)

首都圏で「定期借家契約」のマンションが増えています。アットホームの調査では、2025年度は東京23区で定期借家物件の割合が前年より上昇し、港区では一部の面積帯で4割近くを占めるまでになりました。
背景には、建築費や修繕費、管理コストの上昇があります。貸主は契約更新のタイミングで家賃を見直しやすい定期借家を選択しやすくなっており、賃貸市場にも変化が現れています。
定期借家契約が選ばれる理由
一般的な普通借家契約は、貸主に正当な理由がない限り契約更新が前提となります。一方、定期借家契約は契約期間が終了すると契約が満了し、再契約には双方の合意が必要です。
オーナー側にとっては次のようなメリットがあります。
- 家賃相場の変化に合わせて条件を見直しやすい
- 将来的な建て替えや売却の予定を立てやすい
- 入居者トラブルが長期化しにくい
- 賃貸経営の出口戦略を描きやすい
近年は物価や人件費の上昇により維持管理コストも増加しており、契約期間ごとに収益性を見直せる点が注目されています。
すべての物件に向くわけではない
一方で、定期借家契約にはデメリットもあります。
契約時には法律で定められた書面による説明が必要となり、通常の賃貸借契約より手続きが複雑です。また、契約満了後に退去しなければならない可能性があるため、入居者から敬遠されるケースもあります。
そのため、駅近や設備の充実した物件、法人契約、転勤者向け住宅など、立地や競争力のある物件ほど採用しやすい傾向があります。
地方都市では、空室リスクとのバランスを考えながら契約形態を選択することが重要です。
アパートオーナーが考えたい出口戦略
定期借家の広がりは、「賃貸経営を柔軟に考えるオーナーが増えている」という市場の変化ともいえます。
人口減少や金利上昇、修繕費の高騰が続く中では、
- (1) 今後も賃貸経営を続ける
- (2) 大規模修繕を実施する
- (3) 建て替えを検討する
- (4) 売却して資産を組み替える
といった選択肢を早めに比較しておくことが重要です。
特に築年数が経過したアパートでは、修繕費と家賃収入のバランスが変化しやすく、将来の収益性を見据えた判断が求められます。
まずは物件の資産価値を把握することから
定期借家契約の増加は、賃貸市場が「貸し続けること」だけでなく、「いつ、どのように資産を活用するか」を重視する時代へ移りつつあることを示しています。
アパート経営を続ける場合でも、売却を検討する場合でも、現在の資産価値や市場での評価を把握しておくことは大切です。
今すぐ売却する必要はありませんが、一度査定を受けて市場価格や収益物件としての評価を確認しておくことで、今後の経営や出口戦略をより冷静に判断しやすくなるでしょう。
