2026/05/31(日)

大企業が「持っている不動産」を手放しはじめている
最近、大手企業が本社ビルや倉庫・店舗などの不動産を売却したというニュースをよく耳にするようになりました。電通グループが本社ビルを売却してそのまま借り続けるという手法をとったことは、当時大きな話題になりましたね。
これらの企業に共通しているのは、「不動産を売りたいから売った」のではなく、「資本を効率よく使うために、意図的に売った」という点です。
この動きは、実は収益物件を持つ個人オーナーにとっても、とても参考になる考え方です。
「簿価」と「時価」のギャップが、今ひそかに広がっている
少し専門的な話から入りますが、企業が不動産を持つ場合、帳簿には「買ったときの値段(簿価)」が記録されます。一方で、実際に市場で売買できる価格(時価)は、不動産市況の影響を受けてどんどん変わっていきます。
この時価が簿価を上回っている状態が「含み益」です。逆に下回れば「含み損」になります。
国土交通省の令和7年地価公示(2025年3月発表)では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅も拡大しています。つまり、数年前に取得した不動産には、かなりの含み益が乗っているケースが増えているということです。
大企業はこの「含み益がある今のうちに」売却して、そのキャッシュを別の事業に回す判断をしています。
「売ったあとも使い続ける」という選択肢
「でも、拠点として使っている物件を売ったら困るのでは?」と思われるかもしれません。そこで活用されているのが、セール・アンド・リースバックという手法です。
仕組みはシンプルで、物件を不動産会社やリース会社に売却したあと、その会社と賃貸契約を結んで、引き続き同じ場所で事業を続けるというものです。
売却によってまとまった資金が手に入るうえ、固定資産税の支払いや修繕費の負担からも解放されます(ただし、修繕費の扱いは契約内容によって異なります)。毎月の賃料が発生するというコストはありますが、キャッシュフローの改善を優先する場合は有効な手段です。
賃貸アパートや店舗、倉庫を所有している個人オーナーのケースでは、このスキームをそのまま使うことは少ないですが、「不動産を売却してもその後の活用方法がある」という考え方は、十分参考になります。
岡山の収益物件オーナーにとって、これは他人事ではない
大企業の動きを「規模が違う話」と感じる方もいるかもしれません。でも、岡山で収益物件を持つオーナーにとって、この話はかなり身近な問題につながっています。
岡山では今、二つの流れが同時に進行しています。
一つは、不動産価格の上昇。2025年の公示地価によると、岡山市の平均地価は前年比2.6%の上昇、商業地にいたっては2.09%、工業地は2.22%それぞれ上がっています。岡山駅周辺の再開発(ハレノワ周辺など)の影響もあり、中心部では前年比8%を超える上昇地点も出ています。数年前に取得した物件には、思いのほか含み益が乗っているかもしれません。
もう一つは、人口減少と空き家の増加。岡山県の空き家率はすでに16.45%(全国18位)に達しており、高梁市など県北では34%を超える地域もあります。岡山市内でも、20代女性を中心とした関西・関東への人材流出が続いており、単身者向け賃貸物件の空室リスクは今後じわじわと高まる見通しです。
つまり、今は「物件の価値が比較的高く、かつ売れやすい時期」と「これから需要が落ちる可能性がある時期」が、ちょうど重なっているタイミングなのです。
岡山市中心部と郊外・県北では、すでに地価の二極化がはっきりと表れはじめています。「いま持っている物件がどちら側にあるか」を意識することが、今後の判断においてとても重要になってきます。
金利上昇が「保有コスト」を押し上げていく
もう一つ、見落とせないリスクがあります。それが金利の上昇です。
日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げ、1995年以来約30年ぶりの高水準となりました。今後もさらなる利上げが想定されています。不動産投資ローンの金利も上昇傾向にあり、変動金利で融資を受けている場合は、毎月の返済額が増える可能性があります。
収益物件の利回りが同じでも、ローンの返済が増えればキャッシュフローは悪化します。大企業が含み益のあるうちに売却を進める判断は、こうした金利環境の変化も視野に入れたものです。
「売り時を逃した」と感じる前に、一度立ち止まってみる
売却を考えるとき、多くのオーナーさんが「もう少し待てばもっと上がるかもしれない」「まだ収益は出ているから急がなくていい」と感じるものです。その気持ちはよくわかります。
ただ、大企業が資本効率の観点から「含み益があるうちに動く」という判断をしているように、不動産の売り時は「今すごく困っているから」ではなく、「今が一番有利なタイミングだから」という視点で考えることが大切です。
岡山の収益物件についても、「地価が底堅いうちに売却を検討し、より安定性の高い資産に組み換えることが重要」という専門家の声が増えてきています。特に郊外や築古の物件ほど、その傾向は強まっています。
「今の物件の価値が実際いくらなのか」を知るだけでも、判断の幅はぐっと広がります。
まずは「今の価値」を知ることからはじめてみましょう
売却するかどうかはまだ決めていない、という方にこそ、一度査定を試してみることをおすすめします。
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