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地方の賃貸オーナーが直面する「孤立死」問題。費用負担・空室・資産価値、3つのリスクを整理する


2026/05/24(日)

「単身の高齢者に貸すのは少し不安で…」と感じたことはありませんか?でも断り続けると空室が埋まらない。そんなジレンマを抱えている地方の賃貸オーナーは、年々増えています。

その背景にあるのが、賃貸住宅での「孤立死(孤独死)」リスクの高まりです。今回は統計データをもとに、現状と地方の収益物件への影響、今後の展望を整理します。

 

孤立死の実態、データで見ると

賃貸住宅で入居者が孤立死した際、大家さんが負担する特殊清掃費・遺品整理費・家賃損失などを補償する保険があります。日本少額短期保険協会がこの保険の支払いデータを毎年集計・公表しており、孤立死の実態を知る貴重な資料となっています(出典:同協会「第10回孤独死現状レポート」2025年12月)。

 

データによると、亡くなってから発見されるまでの平均日数は19日。15日以上気づかれないケースが全体の35%にのぼります。孤立死した人の平均年齢は63.6歳で、8割以上が男性、65歳以上が全体の53.9%を占めています。

 

発見が遅れるほど、遺体の腐敗が進み体液が床などに染み込んでしまいます。通常の清掃では対応できず、専門の特殊清掃が必要になります。入居者に身寄りがない場合、その費用は大家さんが負担するケースが少なくありません。

 

一件あたりの損害額は平均100万円超

孤立死が発生したとき、大家さんが実際に直面するのは次のような費用です。

 

  • (1) 特殊清掃費:発見が遅れるほど高額になる
  • (2) 遺品・残置物の処分費用:身寄りがいない入居者の場合、大家負担になることが多い
  • (3) 原状回復費:通常のリフォームを上回るケースも
  • (4) 家賃損失:次の入居者が決まるまでの空室期間、収入はゼロ

 

同協会のデータによれば、これらを合わせた損害額の平均は112万5,510円。物価高・人件費の上昇でこの金額はさらに増える傾向にあります。事故物件となった場合は次の入居者への告知義務が発生したり、賃料設定を下げざるを得ないこともあり、実質的な損失はさらに膨らみます。

 

地方の賃貸市場が抱える特有のリスク

孤立死の問題は全国共通ですが、地方の収益物件オーナーにとって特に深刻な事情があります。

 

空き家率の上昇が地方で顕著 ― 岡山県も例外ではない

総務省の2023年「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家率は過去最高の13.8%に達しました。特に空き家率が高いのは和歌山県・徳島県(21.2%)、山梨県(20.5%)など地方圏が中心で、西日本の地方で高い傾向があります。

 

岡山県も例外ではありません。OHK岡山放送が報じたデータ(総務省調査)によると、岡山県の空き家率は16.4%と全国平均(13.8%)を上回っており、5年前の15.6%からさらに上昇しています。空き家数は約15万7,000戸に達し、県内では高梁市など山間部を中心に空き家化が特に深刻です。都市部である岡山市・倉敷市では需要がある程度保たれているものの、周辺エリアや中山間地域では入居者確保がより難しくなっています。

 

高齢化が進み、単身高齢者の入居需要が増える

内閣府の推計では、65歳以上の一人暮らし高齢者は2020年時点で約671万人。2040年には1,000万人を超えると見込まれています。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(GD Freak整理)によると、岡山県の高齢化率は2020年時点ですでに30.7%と全国平均(28.7%)を上回っており、2050年には37.8%まで上昇する見込みです。地方では若い世代の流出が続いており、賃貸の需要者として残るのが高齢の単身世帯という状況になりつつあります。

 

株式会社R65の調査(2025年)によれば、65歳以上の約3人に1人が年齢を理由に入居を断られた経験があるとのことで、大家側の不安と入居者側の困難が同時進行しています。

 

管理体制が手薄になりがち

都市部であれば管理会社の選択肢も多く、見守りサービスや緊急対応の仕組みも整っています。一方、地方では管理会社自体が少なく、サービスの質にばらつきがある場合も。孤立死が起きたときの初動対応が遅れると、発見がさらに遅れ、特殊清掃費が跳ね上がるリスクにつながります。

 

法制度は変わってきているが、対応はオーナー次第

こうした状況を受け、国や自治体も動き始めています。

 

2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法では、市区町村に対して高齢者・障害者・外国人などへの賃貸住宅供給を促進するよう義務付けられました。終身建物賃貸借契約の手続き簡素化(入居者死亡時に契約が自動終了する仕組み)や、居住支援法人による残置物処理など、大家さんの負担を減らす制度も整備されています。

 

自治体による保険料補助も広がっています。名古屋市はあいおいニッセイ同和損害保険と包括契約を結び、セーフティネット住宅に登録した物件の大家さんが保険料を負担せずに補償を受けられる制度を2022年12月から開始。東京都の一部区や新宿区・豊島区なども同様の取り組みを進めており、今後こうした自治体の動きは増える見通しです。

 

ただし、これらの制度はセーフティネット住宅への登録や一定の要件を満たすことが条件です。情報を集めて手続きを進めるのはオーナー自身であり、何もしなければ恩恵は受けられません。

 

今後の流れを考えると

今後の方向性を整理するとこうなります。

 

孤立死の件数は増え続ける内閣府推計では、2025年に自宅で誰にもみとられずに亡くなった「孤立死」はすでに約2万2,222人に達しています。単身高齢者の増加とともに、件数は今後も増加していく見通しです。

 

地方の築古物件は選ばれにくくなる:人口が減少する地方では、入居者が物件を選ぶ立場になりつつあります。設備や管理体制が整っていない古い物件は、競争から脱落していく可能性があります。

 

対応状況が資産価値に影響する:保険加入・見守り体制・セーフティネット住宅登録の有無が、今後は物件評価の一要素になる可能性もあります。対策が遅れた物件ほど、売却時に不利になるリスクが高まります。

 

「持ち続けるコスト」を一度、整理してみませんか

保険に入って備える、管理体制を整える、制度に登録する。どれも大切な対策です。ただ、こうした手間とコストをかけながら物件を維持することへの不安を感じているオーナーさんも少なくないはずです。

 

地方の築古物件は、今後の入居者確保がさらに難しくなることも見込まれます。「いつか売ろう」と思いながら先送りにしている間に、修繕費・管理コスト・空室リスクが積み重なっていくことも考えられます。

 

売却も含めた選択肢を検討するうえで、まずは「自分の物件が今いくらか」を把握しておくことが第一歩になります。

 

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※本記事におけるデータの主な出典は以下の通りです。数値は確認時点のものであり、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
・孤立死の支払件数・損害額等:日本少額短期保険協会「第10回孤独死現状レポート」(2025年12月)
・全国・岡山県の空き家率:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年公表)
・岡山県の空き家率詳細:OHK岡山放送(総務省調査をもとに報道)
・岡山県の高齢化率:国立社会保障・人口問題研究所将来推計(GD Freak整理)
・高齢者の入居拒否実態:株式会社R65「高齢者の住宅難民問題に関する実態調査」(2025年)
・改正住宅セーフティネット法:LIFULL HOME’S解説記事(2025年10月)
・名古屋市の保険補助制度:名古屋市公式サイト


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